ひさびさの歌舞伎
春眠、暁を覚えず・・・ウトウト。気持ち良さそうだねー
そんな気持ちよく眠るニャンコたちをよそに
このあいだの週末、飼い主はひさしぶりの東銀座の歌舞伎座へ三月歌舞伎を観に行ってまいりました。
ふだんダンス系の舞台見るので経済的にも時間的にもイッパイイッパイなので
歌舞伎にまで手を出してはならぬ、と戒めており
数年にいっぺん見るかどうかの超少ない鑑賞経験のド素人なのですが、
その数少ない経験の中であまりのカッコよさにひとめぼれした片岡仁左衛門。
彼が平知盛を演じる「義経千本桜・渡海屋 大物浦」が何やらスゴいというではありませんか。
仁左衛門サマ、かつて片岡孝夫の名前だったころ地上波によく出演されていたのでコドモの頃から時々お姿を見ておりましたが、
正直言って柔和な顔の地味なオジさんよね(ホントすみません)というくらいの印象でございました。
歌舞伎人より。(比較的最近のお姿。とても品のあるお方だと思いますよ、えぇ)
それが大人になって初めて、坂東玉三郎と共演の「櫻姫東文章」で舞台に立つ彼を見たときの衝撃と言ったら・・・!
なんだこの色気、なんだこのイケメンぷり、もう脳天突き抜けましたよーーー!!!
(桜姫・権助の時のいい写真なかった・・・しかしお年を召そうが、ほっかむりしようが、にじみ出るものがあります)
その仁左衛門サマも御年73歳になります。もう今のうちにその姿拝んどいた方がいいな、
人間何があるかわからないし(ホントすみません)と駆けつけました。
というわけで、この日は3演目ありまして「義経千本桜」は2番目の上演だったのですが、
まずはこの感想からスタートです。
いやもう、ほんっと観られてよかった!!!!!
ストーリーも付け焼き刃、寝坊してグシャグシャの頭のまま歌舞伎座行く電車の中で必死で調べて
やっと内容理解するくらいの適当さで臨んだんですけどね。
ストーリーは”壇ノ浦で滅亡に至ったはずの平家だが、実は平知盛は生きており平家再興を狙っている”というタラレバなお話ですが、
前半は壇ノ浦後に船宿・渡海屋の主人に身をやつし、幼い安徳帝をかくまいながら暮らす知盛のもとに
頼朝に追われて西に落ちのびようとする義経の一行がやって来たことにより戦をしかけるタイミングを伺うくだり。
気っぷが良くて色気がある主人、コレよ、この仁左衛門サマよーーー!と想定内で観ておりました。
後半わざと嵐の日の舟に乗せて戦をしかけたものの、その正体に気づいていた義経たちに返り討ちにあってしまった
知盛は、すさまじい執念・怨念の鬼と化します。
とてもこんな稚拙な文筆でその様子を表現するのは申し訳ない、口惜しい、無念、こちらも怨念の鬼になりそうなんですが続けます。
仁左衛門サマが身を削るかのように全身全霊でこの歌舞伎界屈指の大役を演じている、
その鬼気迫る迫力、筆舌につくしがたい凄みが、1階奥の2等席にもガンガン伝わってきて震えました。
なかでも全身血だらけで息も絶え絶えな中、ひりつくように乾いた喉をおさめるために
自分に刺さった矢を抜いてその血を舐める、壮絶すぎるあのシーン忘れられません。
ひぃぃ 今書いていても思い出されて怖いーーー。
この白い衣装がこのあと真っ赤に染まるのであります。(朝日ニュースより)
自身の内からにじみ出る、こういうのを至芸っていうんだろうな・・・と少ない歌舞伎経験でも感じました。
これは ”今の仁左衛門の知盛” なのでしょう。
というのも、わたしの過去観た仁左衛門サマの演技というのは感情にまかせて演じているというよりは
伝承されたものとおそらくご本人の研究の賜物から現れるというか、
たとえイナセな役であろうと知性と品が感じられるのが個性でいいなぁと思っていました。
しかしこの日観た仁左衛門サマからはもっと感情のほとばしりのようなものが感じられたのです。
はーーー それにしてもこの2時間近い演目+演者のパワーで、観ている方まで気力体力使いすぎてグッタリです。
このあとの演目、周辺の客席は帰ってしまった人たちもそこそこいたのですが、その気持ちわかります・・・
疲れて 帰っちゃってもしかたないわ、これは。
で、気持ちが落ち着いたところで他の2演目です。
1番目:「明君行状記」は明君と評判の殿様と殿様のかわいがる遅い反抗期真っ盛りの若者の、
現代にも通じるようなテンポのよいやり取りが楽しめ、亀三郎と梅玉を堪能しました。
3番目:「神楽諷雲井曲毬(どんつく)」は3回忌をむかえる故・10代坂東三津五郎の追善狂言とのことで
長男の巳之助を中心に、尾上菊五郎・中村時蔵・尾上松緑・市川海老蔵も出演し、みなが踊る楽しくて豪華な演目。
凄まじい義経千本桜のあとに江戸に暮らす人々の様子が垣間みられる陽気な舞踊を観るのは
肩のチカラがぬけてよかったですねー。
(中央:巳之助/iza.ne.jpより)
巳之助は踊りがうまいけど、「義経千本桜」で演じた相模五郎の目を惹く魅力的な演技もとても良く
華を感じる役者さんだなーとファンになりましたよ。
そしてあいかわらず歌舞伎の舞台での華とイケメンぶりが突出していて、どこにいてもすぐわかる海老蔵。
彼のハマリ役「助六」を観るために夜公演のチケットも取るべきであった・・・と
ちょっぴり後悔して幕を閉じた飼い主3月の歌舞伎鑑賞でしたー。
(ちょっと週末も出歩きすぎでウチ散らかってない?アタシそういうのイヤなのよねー)
お気に入りのキャンプマットの上でジャラシをキャッチ。
うん、確かにウチ散らかってるね・・・でもこれは飼い主♂のせいなんだけどね。