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Apr 9, 2017

映画館でバレエ・その2

映画館でバレエ・その1があったからには、とうぜんその2があるわけでして・・・しつこくてスミマセン。

(えーまたやたら長いやつー?ネコの話はぁー?)

それはまた今度ね!

ここ数年、英国ロイヤルバレエ団は、本拠地ロンドンのロイヤルオペラハウスで上演される公演を

ほぼ同時に世界各地に配信するライブビューイングを定期的に行っています。

日本は時差があって結構なタイムラグが生じてしまうため、この映像を中継としてではなく1週間ほど上映しています。

ライブでなくても最新の舞台映像振付家や作曲家、ダンサーなどのインタビューなどにより、

作品への理解を深めながら観られるというのは

ふだんバレエやオペラを観ない人たちにも、観劇LOVERたちにもよい企画だなぁと思います。

全国の主要なTOHOシネマズで展開するロイヤルバレエ・シネマシリーズとして展開されており

インタビューも舞台上のモノローグなど全部字幕がつきますので、

I am poor at English な飼い主でもバッチリです。ホント、ありがたいわぁ〜

http://tohotowa.co.jp/roh/

で、今回はそのひとつ、「ウルフ ワークス」です

この演目は、英国ロイヤルバレエ団の常任振付家であるウエイン・マクレガー

イギリスの代表的な作家のひとり、ヴァージニア・ウルフを題材にして初めて長幕に挑戦したもの。

2年前のワールドプレミア時はその革新性に大きな話題となり、数々の賞に輝いた作品で、

今年の年明けに再演があり、そのライブビューイング映像が上映されました。

飼い主は、2年前の初演時にシルヴィ・ギエムの引退公演を観るためにロンドンに行っており、

ちょうどロイヤルバレエのシーズン中ならロイヤルオペラハウスでいくつか観劇しないともったいないな、と

チケットを取った公演のひとつが、このウルフ ワークス。

ウエイン・マクレガーってかなり先鋭的な舞台作りをする印象だけど三幕モノとかってどうなんでしょう、大丈夫かな、と

杞憂したのはアホかと思うほど衝撃的な感銘を受け、もういちど観たいと焦がれていた作品です。

それが初演主要キャストはそのままで観られるとあっては興奮をおさえられません!

というのもロイヤルバレエの看板ダンサーたち大量投入のめっちゃ豪華なキャストにプラス、

一度は引退して伝説化するほどの女優ダンサー アレッサンドラ・フェリが、

ヴァージニア・ウルフ役でゲスト出演してるんですよ!ハァハァ

公式サイトより©Tristram Kenton

この作品はヴァージニア・ウルフの小説「ダロウェイ夫人」「オーランドー」「波」の3つをベースに

彼女のエッセイ・手紙・日記など私生活をおりまぜて展開されています。

1幕目はダロウェイ夫人(スートリーはコチラ)をベースにした” I Now, I Then”.

公式サイトより©Tristram Kenton

シンボリックな舞台美術とともに

小説ダロウェイ夫人の登場人物たちと、ウルフ自身とその夫や元恋人、友人などが交錯し、物語を紡ぎます。

そのなかで、フェリの存在感はもちろんのこと、なんといってもお気に入りはこの人エドワード・ワトソン、

 病んだ役をやらせたら天下一品ですっ!最高。

不思議の国のアリスのウサギ役も好きなんですけどね

(エドと、日本人プリンシパルの高田茜さん)公式サイトより©Tristram Kenton

エドは戦争による神経症に苦しむ元義勇兵を、個性あふれる演技と高い身体能力で見せてくれました。

また、ダロウェイ夫人と、若い時代のウルフが行き来するようなベアトリス

ダロウェイ夫人の親友サリーと、私生活でウルフと同性愛関係にあったと言われるヴィタが混じりあうフランチェスカ

ふたりの瑞々しさがフェリの成熟感といい対比で、まさに-Now and Then –今そしてこれからを象徴していたと思います。

2幕はオーランドー(ストーリはコチラ)をベースにした ”Becoming

1幕とはうって変わって光・レーザーを駆使した照明の中、性と時空を超越してしまった青年貴族のオーランドーになぞらえて

大勢のダンサーたちが近未来感あふれる衣装やメイクをまとい、息もつかせぬすさまじい超絶技巧を繰り広げます。

公式サイトより©Tristram Kenton

いったいみんな関節どこにあるの???

いやー、すごかったのなんのって・・・ホントに息をつめて観すぎて呼吸困難になったんですよー。

なかでも強いテクニックと身体能力が、コンテンポラリーな振付に実に素晴らしくいきるオシポワが圧巻です。

初演では超絶テクニックを誇るマックレー先輩ですら霞みそうな勢いでしたが、

今回は良いバランスで拮抗したパートナーとなって、ペアとしても見応えありました。

(初演時のパンフレットより、オシポワとマックレーのリハーサル風景。どうなってるんだね、このカラダ)

サラ・ラムも強靭な一面を見せ、演劇的なロイヤルバレエダンサーたちの

テクニックの底力も見せつけられた幕でしたね。

初めてこの舞台を観た時に、もうこの幕が終わる頃は斬新なクリエーションの洪水に興奮し、

その創造性にたいして飼い主の脆弱なCPUが処理しきれないようで、幕間は震えが止まりませんでしたよー。

3幕は「波」をベースにした“Tuesday”

世界一美しい遺書とよばれるウルフの遺書のモノローグから始まり、波の映像が流れます。

マクレガーによれば、このタイトルはその遺書の最初の言葉からなんだそう。

え?ちゃんとTuesday聞こえてたかって?もちろんわかっていませんでしたとも(涙)

公式サイトより©Tristram Kenton

波の音が流れ、波打つ様子や海の底を感じさせ、それに身をまかせるようなムーブメントは

「波」は非常にポエティックで抽象的だ、とマクレガーが言っていることをそのまま体現しているよう。

また入水自殺したウルフの心情も現しているのだと思います。

そしてロイヤルバレエスクールの子どもたちから、ソリスト、プリンシンパルまでが

そのムーブメントを一体となってユニゾンしている光景は、素晴らしいフィナーレでした。

ところで、このフィナーレで群舞なみなさんはサンゴを模したヘッドピースのようなものをつけていたのですが、

わたくしロンドンにて舞台を鑑賞時はオペラグラス使ってなかったこともあって

ゴーグルにシュノーケルつけてたと思ってました・・・誤解が正せて本当によかったわ・・・。

いくら波だ、海だって、あの舞台美術や衣装の流れでこの認識はあんまりなので、

これからはちゃんとオペラグラス使う決心。

そして幕間はライブビューイングならではの、お楽しみコンテンツがいろいろです。

それぞれどの幕間だったかは記憶が曖昧なのですけど、フェリやサラ・ラムらダンサーのインタビューはじめ、

マクレガーそして作曲家のリヒターのインタビュー、どれも創作過程が垣間見えてとても良かった。

とくにリヒターの誰もが知っているメロディにちょっとした違和感を仕込んで感情を動かす

というのを実演していたのが、とっても興味深かったですー。

それから!ヴァイオレットおばあさま(ダウントンアビー見てない方スミマセン)が朗読をしてました!

彼女の声好きなの、嬉しかったな。

(ヴァイオレット先代伯爵夫人ことマギー・スミス。ダウントンアビーオフィシャルサイトより

ちなみに、上記の中のマクレガーの言葉の引用はコチラから。

これこの作品が好きな人は頑張って読む価値あるインタビューだなぁと思いました。

情緒的、感情的な英語が多用されてる芸術系の記事はハードル高いんですけどね

(スキンヘッドのマクレガー氏。independent.co.jpより

このインタビューの最後にマクレガーが言っている

“But I think it’s the responsibility of a big lyric opera house to offer work that is on the edge.

If they don’t, and they only present things that are easy to watch and that they know people already like,

that would kill off the art form. They have to be able to take risks.”

「人々がすでに知っているわかりやすい作品だけでなく、先進的な舞台を提供することはこのようなオペラハウスの責任であり、

リスクをとることが芸術を進化させる」ってホント大事なことだと思います。

(ちょっと意訳気味かな。いつものままだと芸術を殺してしまうのでリスクをとることが出来なきゃいけないって話ですよね)

日本だとなかなか難しいのだと思うけど。

(終わったの?)お待たせハモン、遊ぼうね。あ、目ヤニついてるよ。

 

Apr 5, 2017

映画館でバレエ・その1

この後ろ足、ナンですか?

(PCあったかくて気持ちいいの・・・)

ニャンコを尻目に3月は飼い主にとって観劇月間でしたが、観劇出来るのは劇場とTVだけではありませぬ。

てことで、セルゲイ・ディアギレフ生誕145周年記念特別上映と題して

TOHOシネマズ日本橋と梅田にて1晩限りで上映された、

パリ・オペラ座「バレエ・リュス」100周年記念公演(2009年にオペラ・ガルニエで上演)を鑑賞してきました。

(こちらTOHOシネマズでは1日限りでしたが、4/8から吉祥寺オデオンで1週間上映されるようです。)

なんだか100周年だとか145周年とかややこしいですが、グーグル先生もディアギレフのお誕生日をお祝いしてましたね。

 

1909年に設立されたバレエ・リュスは、ロシアから当時のヨーロッパのバレエ界に斬新といえる表現でムーブメントを起こし

大きな影響を与えたバレエ団、その総合プロデューサー・主宰がセルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)です。

ディアギレフはピカソ、マティス、シャネルなどの偉大な芸術家・表現者たちとともに、新しいバレエのありかたを創造していきました。

バレエファンにはおなじみですが、そうでない人でも

バレエ・リュスの名ダンサー、ヴァツラフ・ニジンスキーの名前は聞いたことがあるかもしれませんね。

今回は、ニジンスキーとバレエ・リュスの黄金期代表作といえる「薔薇の精」「牧神の午後」「ペトルーシュカ」、

そして舞台・衣装がピカソで有名な「三角帽子」の4本立て

このそれぞれの作品の間に流れる映像も舞台同様に何層にもなっていてオシャレなんですーー。

(dailymotionより)

さて本編ですが、まず薔薇の精

舞踏会から帰ってきた少女がその日胸につけていた香り豊かな薔薇。

その薔薇の精との夢の中でのひとときを描いたロマンチック&ちょっとセンシュアルなこのストーリー、

登場人物がふたりだけなこともあるのかガラ公演でも人気演目のようで、たびたび観る機会があります。

飼い主はこの薔薇の精が、音楽も振付もだーーーーーーい好き!なのですが、

これまでこの情熱的な思いを満足させてくれる薔薇の精ナンバーワンは、ウラジミール・マラーホフ

映像があんまりよくないですが、そのアームスは匂い立つような官能感に満ちています。

他にちょっと憂いをおびて端正なオペラ座元エトワール、マニュエル・ルグリの薔薇の精

ルグリ先生はちょっと端正すぎて個性が弱いというかあまり官能的な感じがないんですが、とにかくムーブメントが美しい

他に違いのわかる男、熊川哲也氏の薔薇の精も日本人としてはめずらしいキャラクターがあって好きなんですよねー。

さて、飼い主のその狭量ともいえる理想の薔薇の精ランクにてトップクラスに躍り出たのが

今回の映像で踊っている現エトワール、マチアス・エイマン

先日のパリ・オペラ座来日公演でも、いま観るべきキャリアの絶頂期にある、と観た人々を興奮させた彼の薔薇の精は、

まさに匂い立つようなその官能感・人外の軽やかさが、映画館の大スクリーンいっぱいに映し出されて鼻血出そうに興奮しました!!!

ブラボーブラボー!マチアス!ハラショーーーー!

(思うに薔薇の精はちょっとクセの強いルックスの方がいいのかも。)

お相手のイザベル・シアラヴォラは少女と言うにはだいぶ成熟感強いですが、

あいかわらずの美しい脚が音楽を奏でる様子を堪能出来ました。引退後は観る機会がなくて残念だなぁ。

それにしても薔薇の精の衣装ってバレエ団によってまちまちで、けっこう貧相で散るところ?!みたいなものもあるのですが

さすがパリ・オペラ座、お金と手間を惜しまないその豪華さは興ざめポイントゼロでほんとにウットリしましたよ。

お次は牧神の午後ドビュッシーの美しい旋律が流れる中、ニジンスキー初めて振付をしたというこの演目は

まるで壁画から抜け出してきたような、今見てもモダンだけれど当時としてはそうとうにコンテンポラリーで

いわゆるバレエの文脈とは一線を画した斬新な踊りによって構成されています。

牧神が岩の上で葡萄を食べていると7人のニンフが現れ水浴を始める。

欲情した牧神は岩から降りニンフを誘惑しようとするが、ニンフ達は牧神を恐れて逃げ出してしまう。

ひとり残された牧神はニンフの一人が落としたヴェールを拾い上げると、それを岩に敷き、自らを慰める。”(wikiより)

マラルメの詩「半獣神の午後」をベースにしてはいるものの衝撃的なラストに、上演当時は大変物議をかもしたよう。

飼い主、ストーリーをくわしく理解せずに昔初めて見たときは、ラストはニンフに去られて牧神が悲しんでいるだけかと思いましたが

そこらへんはもしかしたら当時とくらべて表現がマイルドになっているのかもしれませんわね。

その牧神を踊るニコラ・ル・リッシュ、このちょっと粗野?な役がよく似合うのです。

日本ではあまり見る機会のないエミリー・コゼットは、たたずまいがたおやかでニコラといいコントラストのニンフ役でした。

続きまして、三角帽子。この舞台、美術・衣装ともにピカソが手がけており、たいへん興味深い演目なのですが

どうもわたくしスペイン・アンダルシアの民話がベースのストーリーのせいなのか、レオニード・マシーンの振付が肌に合わないのか

コレ見るとなぜかウトウトが止まりません!

衣装も華やかだし踊り的見どころもあるんですよ、DVDも持ってるのに最後まで通しでちゃんと見られたことがないという・・・(汗

衣装は華やかで、数年前のバレエ・リュス展を思い出させますね。

 

ジロとジョゼ(どちらもclassictoulouse.comより)

ウトウトはしてましたけど、やっぱりジョゼ・マルティネスのフラメンコ!ここは目が覚めます!

スペイン出身のエトワールでオペラ座引退後はスペイン国立ダンスカンパニーの芸術監督をつとめる彼ならでは、です。

フラメンコだけれど、バレエのもつ優美さも見え隠れする踊りはカッコいいーーー。

たいする現エトワールのマリ・アニエス・ジロ姐さんの粋なステップも大変盛り上げてくれたのに・・・。

うぅ・・・ピカソごめん

最後はペトルーシュカです。20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーの音楽が華やかで軽快に流れるなか、

感情を持って恋をしてしまった人形の切なく哀しいストーリーが展開され、その対比が哀れさをいっそう引き立てます

ペトルーシュカ自身は、独自の人形感たっぷりの動きを見せますが

それ以外の登場人物はロシアの民族舞踊が多用されていたり、ペトルーシュカが恋するバレリーナ・恋敵のムーア人(どちらも人形)

古典のくるみ割り人形でもおなじみのパ(動き)が散見され、ペトルーシュカの独自性が浮き立って見えるように思います。

また、この楽曲はストラヴィンスキーの代表的3大バレエ音楽のひとつですが

当時ドライで痛烈でグロテスクと酷評されたようですけど、それだけ人の琴線にふれる旋律と構成なんじゃないでしょうか。

飼い主も、聞いてると不安定さも感じるその構成に気持ちがザワつくのがたまらなく、好きです。

バンジャマン・ペッシュの濃厚な演技力はペトルーシュカ役と相性もよく、

音楽的なクレールマリ・オスタの愛らしいバレリーナとともに、人形の哀しみと恋の理不尽さを印象づけていました。

しかしムーア人の描き方が、メイクといいちびくろサンボがダメな時代にはけっこうドキドキする表現・・・。

あえて人形性を強めたメイクや乱暴さにしているのでしょうけどね。

ペトルーシュカ以外は2010年にNHKのBSプレミアムシアターで放映されたので見たことをおぼろげに記憶しているのですが、

なにせスタートが超深夜でウトウトしながら録画もせずでした。もったいなかったな・・・。

しかしなんといってもイザベル、ニコラ、ジョゼ、バンジャマン、クレールマリなど

ここ数年で引退したエトワールたちの踊る姿が大スクリーンで見られたことは嬉しかったですね〜。

オマケはハモンのベロリンちょ。

 

Mar 20, 2017

違いのわかる男

 

 

(呼んだ?)

いや、ジョニー、キミではないです。

今日は熊川哲也氏とK-Balletです。彼がダバダ〜〜〜なゴールドブレンドに出ていたのは、もう20年も前だそう。

懐かしいなぁ

このころ彼の存在を知った飼い主は、細く長く折りにふれ踊る熊川氏を定期的に鑑賞しています。

このCMに出演していた頃から10年くらいは彼のいわゆるテクニック的に絶頂期で、何を演じてもクマテツ、と

若干◯ムタク的ではあったもののその突き抜けっぷりはたいそう清々しく

また自身のカンパニーの設立からずっと見てきて、なかなか日本のバレエ団にはない凄腕トップぶりを

頼もしく思い、ひっそりと応援してきました。

その後ケガに悩まされたり、年齢も重ね、演技力は充実し円熟味も増してきました

近年は彼の主宰するK-Balletでもかなり踊る機会が激減しています。

そうしたら今年の3月公演で急遽1演目踊ることになったというではないですか!

チケットを急ぎゲットしました!

しかし同時上演の目玉、着ぐるみバレエのピーターラビットに自分が馴染めるか不安がつきず

いや、でも英国ロイヤルバレエ団でも上演してるものだし、なんたってアシュトン振付でしょ、

Kのダンサーだったら着ぐるみ着ても表現力豊かに、でもバレエらしく見せてくれるはず!とか、

きっとディテール凝ってて楽しいよ!とか、もしかしてちょっと風刺きいちゃってるかも!だってイギリスだし、とか

いろいろ自分をなだめながら楽しみにしてましたけど、やっぱり一度でじゅうぶんでしたw。

もちろん、それはそれは愛らしくもすばらしいダンサーたくさんいたのですけど、やっぱり顔が見たいのかも・・・w。

わたし某夢の国の世界一有名なネズミさんにも無条件のキャーーー♡を感じない人間だからかなー?

もうひとつ同時上演の「レ・パティヌール」は古き良きスケート場を舞台にしたホリデー感あふれる楽しい演目。

こちらもアシュトン振付の、氷の上での動きを踊りに上手くいかしながらテクニックも楽しめる逸品でした。

で、10分ほどの新作で、そんな熊川氏を数年ぶりに見ましたら、おどろくほどいい感じの枯れっぷり!

童顔だった彼ですが、現在はバレエダンサーにはめずらしいナイスミドル感を醸しておりますね。

コンテンポラリーダンサーの渡辺レイさんと共作し、踊る「Fruits de la passion~パッションフルーツ」

男と女の情熱的だけどギラギラしてない、でも切れ味がいい、そんな粋な演目でした。

かつてはその傑出したテクニックをこれでもかと見せながら踊っているように感じられたこともありましたが、

この日見たすべてがさりげなくて、ものすごく水準が高い。いいもの観られたなー。

そのいい感じの枯れっぷり(褒めてます)は、現在も踊る往年の名ダンサー、ミハイル・バリシニコフを思い出すんですー。

↓こんな若くグルグル🌀回っててイケイケだったときから時を経て・・・

↑6o代後半になってもまだまだ踊るこんな映像が脳裏に浮かび、熊川氏の行く末に想いをはせました。

長く踊っていく様子を観ていきたいなーとすごく感じましたですよ!

オマケで、このバリシニコフもかっこいい!ファッションブランドRag & Bornの2015FWのキャンペーン。

カッコよく年を重ねる、自分にとっても永遠のテーマです〜。

(いいけどゴハンまだ?)

あなたは永遠の女子ですわね・・・ハモン

Mar 18, 2017

ピナ・バウシュで踊る

(ちょっとーここネコブログじゃなかったのー? )

まぁまぁ、だって今月は観たいダンスの公演がメジロ押しなんですよ!

なかでも飼い主がパリ・オペラ座に続いて楽しみにしていたのが

ドイツはヴッパタール舞踊団のピナ・バウシュ「カーネーション-NELKEN」です!

日本での上演は28年ぶりとのことですが、世界各地では時々上演されているため短い映像やスチール写真をたびたび目にしており、

その敷きつめられたカーネーションのフォトジェニックさで、ずーーーっと観たいと恋焦がれていました。

しかし世界に広がるピナ・バウシュの熱狂的なファンにより、チケットはどこもあっという間にソールドアウト。

ちょうど2015年の初夏にパリに行ったときも、偶然この「カーネーション-NELKEN」がシャトレ劇場で上演しており

直前に知ってチケットを手に入れようとしましたが、見事にソールドアウトで当日券もまったく手に入らず。

友人からピナの公演を甘く見ていると諭された次第です・・・。

日本でも、たいていのコンテポラリー作品の公演はわりと直前でもチケットが手に入ることが多いのですが

ピナの演目はどれも他にくらべて圧倒的に人気でほぼ完売するため、

今回のチケット発売はかなりの気合いを入れて発売時間に正座してゲットしました。(やはり発売すぐで全公演完売なり)

気合い入れすぎてあれこれ手を打ったため、よぶんなチケット何枚も買っちゃったのですが

それもふだんそれほどダンスを観ない友人たちにもホイホイお嫁入りしていきましたよ。おそるべしピナ人気!

さて恨み節みたいな前置きが長くなりましたが、そんな中で与野本町のさいたま芸術劇場です。

平日夜にこの都心からも遠く(しかも最寄りの駅からも遠い・・・)、

自宅からは1都2県にまたがっての移動を余儀なくされる劇場=でもホントに素敵な公演をたくさんやるんです=に行ってまいりました。

会場に入ると、前評判通りしきつめられたカーネーションが撮影可です。

キャーキャー♡期待値がますます高まりますー。

ドレスを着た女性たちとスーツを着た男性たちが、一面のカーネーション畑でじぶんの人生を語り、踊る。

生きていく上では楽しいことも、つらいことも、理不尽なことも、たくさんあるけど、

じぶんの原点を見つめだいじなものをわかっていれば大丈夫、そんな気持ちにさせられた

ピナの人間愛ダンサーへの愛情にあふれた演目。

またそんな流れの終盤では観客もダンサーの呼びかけでカンタンな振りをいっしょに踊る

それがなんだかとても自然で、ものすごく気持ちがあたたかくなりました。

そして特筆すべきはこの中のダイアローグがすべて日本語で行われることです!

韓国では韓国語でやるそうですし、上演する国に合わせてそのセリフをすべて覚えるのはそうとう準備が大変なはず。

演劇とはちがいますが、ちょっとしたアイロニーやら理不尽さなどがちゃんとセリフで伝わるかはポイントになってくるので

発音もけっこう大事だと思うし、すごいなーと感心しましたよー。

(さいたま芸術劇場HPより)

前回のKONTAKTHOFを諸事情で行かれず、だいぶひさしぶりにヴッパタール舞踊団を見たら

けっこう若いひとがたくさんいて、ダンサーの世代交代が進んでいました。

でもやっぱり超ダイバーシティなメンバーはピナ亡き後も彼女の現す世界そのもの

今回のカーネーションにはでっかいシェパードも4頭出演するのですが、これまた4頭4様

舞台上で起こることにビビって逃げ出したがる、ひたすら吠えて立ち向かう、何が起ころうともまったく動じない、

トレーナーとアイコンタクトをし続ける、など演出かと思うような性格の違いだったんです。

偶然でしょうけど、生きているものはみな多様であるってメッセージなのかと思ってしまいましたww。

まだ今日と明日公演がありますが、わたしが次に彼らの世界観にふれるのはいつになるかな。

(ネコにだって演技力が必要なの。こんなふうに甘えてあげてるんだから・・・)

Mar 14, 2017

パリ・オペラ座来日

今日はネコ濃度低めです。

(上野の東京文化会館大ホール・ホワイエのモニター)

さて飼い主、世界最高峰といわれるパリ・オペラ座バレエ団の、約3年に一回のお引っ越し公演、

今回は「ラ・シルフィード」「グラン・ガラ」の演目中・3公演分のチケットをにぎりしめて行ってまいりましたっっ!

もうひさしぶりにこんな高い公演チケット、しかもS席奮発したからにはリキんでもしかたあるまい・・・。

19世紀、ヨーロッパを席巻したロマン主義の潮流のなか、パリ・オペラ座初演の「ラ・シルフィード」は

空気の精のお話でロマンティック・バレエの代表作と言われています。

白いロマンチックチュチュを着たふわふわの妖精さんたちがたくさん出て来る演目で、

パリ・オペラ座ならではの丁寧で繊細な足さばきに優美なポールドブラ、細部まで凝った衣装・・・(話自体はつまらないのw)

そのうえ、まさに清純で甘美な妖精そのもののエトワール、ミリアム・ウルド=ブラームと

この世の万有引力の理にさからって宙に浮かぶかのような、踊りの申し子マチアス・エイマンの組み合わせは

極東の島国で日々地味に暮らす一市民のわたしをたいそうな夢見心地にしてくれました。

(スカートフワフワです。パンフレットより)

たいしてガラ公演とは白鳥の湖などのように1〜3幕までの物語になっておらず、

いろんな演目のいくつかのシーンを幕の内弁当みたいに見せまくる公演であります(かなりざっくりした説明)

ちなみにガラとは祝祭とか公的なパーティーを意味するフランス語なんですって(wikiより)。

中でも、初めて見たナタリー・ポートマンの夫としても有名な振付家、前パリ・オペラ座芸術監督である

バンジャマン・ミルピエの「ダフニスとクロエ」

かのダニエル・ビュランの印象的な幾何形体(◯と△と◇とも言います)の背景が離れたり重なったりすることで

ストーリーもあらわす興味深い演目で、オーケストラ+眠気を誘うと評判のナマの合唱つきです。

とっても賛否両論のある演目でしたが、舞台美術や音楽などの要素も相まってわたしはけっこう好きだと思ったんですよね。

ここで現芸術監督であるオレリー・デュポンがオペラ座引退後ふたたびバレエ団の舞台に立ったのですが、

オーラ・技術ともエトワール時代と少しも変わらない様子に感嘆しました。

(パリ・オペラ座HPより)

まったく踊りというものは同じ演目でもダンサーの個性によって、流れる音楽の種類まで違って聞こえるくらいですが

どの演目もベテランからフレッシュなエトワールをはじめ、

ほんとうにさまざまなダンサーの良さを認識・堪能出来た素晴らしい公演でした。

あー またパリに見に行きたいなぁー

(また行くの?人間って大変そうだねー・・・ジョニー眠い)

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