映画館でバレエ・その1
この後ろ足、ナンですか?
(PCあったかくて気持ちいいの・・・)
ニャンコを尻目に3月は飼い主にとって観劇月間でしたが、観劇出来るのは劇場とTVだけではありませぬ。
てことで、セルゲイ・ディアギレフ生誕145周年記念特別上映と題して
TOHOシネマズ日本橋と梅田にて1晩限りで上映された、
パリ・オペラ座「バレエ・リュス」100周年記念公演(2009年にオペラ・ガルニエで上演)を鑑賞してきました。
(こちらTOHOシネマズでは1日限りでしたが、4/8から吉祥寺オデオンで1週間上映されるようです。)
なんだか100周年だとか145周年とかややこしいですが、グーグル先生もディアギレフのお誕生日をお祝いしてましたね。
1909年に設立されたバレエ・リュスは、ロシアから当時のヨーロッパのバレエ界に斬新といえる表現でムーブメントを起こし
大きな影響を与えたバレエ団、その総合プロデューサー・主宰がセルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)です。
ディアギレフはピカソ、マティス、シャネルなどの偉大な芸術家・表現者たちとともに、新しいバレエのありかたを創造していきました。
バレエファンにはおなじみですが、そうでない人でも
バレエ・リュスの名ダンサー、ヴァツラフ・ニジンスキーの名前は聞いたことがあるかもしれませんね。
今回は、ニジンスキーとバレエ・リュスの黄金期代表作といえる「薔薇の精」「牧神の午後」「ペトルーシュカ」、
そして舞台・衣装がピカソで有名な「三角帽子」の4本立て。
このそれぞれの作品の間に流れる映像も舞台同様に何層にもなっていてオシャレなんですーー。
(dailymotionより)
さて本編ですが、まず薔薇の精。
舞踏会から帰ってきた少女がその日胸につけていた香り豊かな薔薇。
その薔薇の精との夢の中でのひとときを描いたロマンチック&ちょっとセンシュアルなこのストーリー、
登場人物がふたりだけなこともあるのかガラ公演でも人気演目のようで、たびたび観る機会があります。
飼い主はこの薔薇の精が、音楽も振付もだーーーーーーい好き!なのですが、
これまでこの情熱的な思いを満足させてくれる薔薇の精ナンバーワンは、ウラジミール・マラーホフ。
映像があんまりよくないですが、そのアームスは匂い立つような官能感に満ちています。
他にちょっと憂いをおびて端正なオペラ座元エトワール、マニュエル・ルグリの薔薇の精。
ルグリ先生はちょっと端正すぎて個性が弱いというかあまり官能的な感じがないんですが、とにかくムーブメントが美しい。
他に違いのわかる男、熊川哲也氏の薔薇の精も日本人としてはめずらしいキャラクターがあって好きなんですよねー。
さて、飼い主のその狭量ともいえる理想の薔薇の精ランクにてトップクラスに躍り出たのが
今回の映像で踊っている現エトワール、マチアス・エイマン!
先日のパリ・オペラ座来日公演でも、いま観るべきキャリアの絶頂期にある、と観た人々を興奮させた彼の薔薇の精は、
まさに匂い立つようなその官能感・人外の軽やかさが、映画館の大スクリーンいっぱいに映し出されて鼻血出そうに興奮しました!!!
ブラボーブラボー!マチアス!ハラショーーーー!
(思うに薔薇の精はちょっとクセの強いルックスの方がいいのかも。)
お相手のイザベル・シアラヴォラは少女と言うにはだいぶ成熟感強いですが、
あいかわらずの美しい脚が音楽を奏でる様子を堪能出来ました。引退後は観る機会がなくて残念だなぁ。
それにしても薔薇の精の衣装ってバレエ団によってまちまちで、けっこう貧相で散るところ?!みたいなものもあるのですが
さすがパリ・オペラ座、お金と手間を惜しまないその豪華さは興ざめポイントゼロでほんとにウットリしましたよ。
お次は牧神の午後。ドビュッシーの美しい旋律が流れる中、ニジンスキーが初めて振付をしたというこの演目は
まるで壁画から抜け出してきたような、今見てもモダンだけれど当時としてはそうとうにコンテンポラリーで
いわゆるバレエの文脈とは一線を画した斬新な踊りによって構成されています。
“牧神が岩の上で葡萄を食べていると7人のニンフが現れ水浴を始める。
欲情した牧神は岩から降りニンフを誘惑しようとするが、ニンフ達は牧神を恐れて逃げ出してしまう。
ひとり残された牧神はニンフの一人が落としたヴェールを拾い上げると、それを岩に敷き、自らを慰める。”(wikiより)
マラルメの詩「半獣神の午後」をベースにしてはいるものの衝撃的なラストに、上演当時は大変物議をかもしたよう。
飼い主、ストーリーをくわしく理解せずに昔初めて見たときは、ラストはニンフに去られて牧神が悲しんでいるだけかと思いましたが
そこらへんはもしかしたら当時とくらべて表現がマイルドになっているのかもしれませんわね。
その牧神を踊るニコラ・ル・リッシュ、このちょっと粗野?な役がよく似合うのです。
日本ではあまり見る機会のないエミリー・コゼットは、たたずまいがたおやかでニコラといいコントラストのニンフ役でした。
続きまして、三角帽子。この舞台、美術・衣装ともにピカソが手がけており、たいへん興味深い演目なのですが
どうもわたくしスペイン・アンダルシアの民話がベースのストーリーのせいなのか、レオニード・マシーンの振付が肌に合わないのか
コレ見るとなぜかウトウトが止まりません!
衣装も華やかだし踊り的見どころもあるんですよ、DVDも持ってるのに最後まで通しでちゃんと見られたことがないという・・・(汗
衣装は華やかで、数年前のバレエ・リュス展を思い出させますね。
ジロとジョゼ(どちらもclassictoulouse.comより)
ウトウトはしてましたけど、やっぱりジョゼ・マルティネスのフラメンコ!ここは目が覚めます!
スペイン出身のエトワールでオペラ座引退後はスペイン国立ダンスカンパニーの芸術監督をつとめる彼ならでは、です。
フラメンコだけれど、バレエのもつ優美さも見え隠れする踊りはカッコいいーーー。
たいする現エトワールのマリ・アニエス・ジロ姐さんの粋なステップも大変盛り上げてくれたのに・・・。
うぅ・・・ピカソごめん。
最後はペトルーシュカです。20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーの音楽が華やかで軽快に流れるなか、
感情を持って恋をしてしまった人形の切なく哀しいストーリーが展開され、その対比が哀れさをいっそう引き立てます。
ペトルーシュカ自身は、独自の人形感たっぷりの動きを見せますが
それ以外の登場人物はロシアの民族舞踊が多用されていたり、ペトルーシュカが恋するバレリーナ・恋敵のムーア人(どちらも人形)は
古典のくるみ割り人形でもおなじみのパ(動き)が散見され、ペトルーシュカの独自性が浮き立って見えるように思います。
また、この楽曲はストラヴィンスキーの代表的3大バレエ音楽のひとつですが
当時ドライで痛烈でグロテスクと酷評されたようですけど、それだけ人の琴線にふれる旋律と構成なんじゃないでしょうか。
飼い主も、聞いてると不安定さも感じるその構成に気持ちがザワつくのがたまらなく、好きです。
バンジャマン・ペッシュの濃厚な演技力はペトルーシュカ役と相性もよく、
音楽的なクレールマリ・オスタの愛らしいバレリーナとともに、人形の哀しみと恋の理不尽さを印象づけていました。
しかしムーア人の描き方が、メイクといいちびくろサンボがダメな時代にはけっこうドキドキする表現・・・。
あえて人形性を強めたメイクや乱暴さにしているのでしょうけどね。
ペトルーシュカ以外は2010年にNHKのBSプレミアムシアターで放映されたので見たことをおぼろげに記憶しているのですが、
なにせスタートが超深夜でウトウトしながら録画もせずでした。もったいなかったな・・・。
しかしなんといってもイザベル、ニコラ、ジョゼ、バンジャマン、クレールマリなど
ここ数年で引退したエトワールたちの踊る姿が大スクリーンで見られたことは嬉しかったですね〜。
オマケはハモンのベロリンちょ。
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