ミュシャ展を楽しむ
ここのところ気持ちの重くなるような仕事をしていないせいか、フットワークの軽い飼い主♀です。
てなことで、今日はミュシャ展。
ネコ話しようと思ってたのですが、すこしでも早くこれから行くみなさまのお役に立てれば。
(あっ、やめてカタログに乗らないでー)
(じゃあこんなとこ置かないでっ!ジャマよっ!)
3月8日にスタートして、さっそく国立新美術館のチケット売り場がもうトグロ巻いてるらしい!とか
早くしないとTV放映後は、あの記憶に新しい若冲展の狂乱みたいなことになっちゃうかも!とか
SNS上でドキドキするようなコメントが散見されたので、とにかく大慌てで行ってまいりました。
せっかく近くに勤めているんだから平日行かなくてどうする!と月曜の15〜17時と実にハンパな時間に行ったおかげで
ほどほどの人出で鑑賞できましたね(ちなみに火曜は休館日です)。
今後混雑状況は変わるでしょうが、作品が巨大なので中はそこそこ混んでてもぜんぜん気にならないです。
Twitter上で先に行かれた方々が、とにかく入場券買うだけで大行列なので
「必ずチケットはオンラインで購入していくべし」とのありがたい教えを授けて下さり、
チケット売り場が行列しているのをシリ目にスムーズに入場。
また、観劇クラスタの方がとにかく作品が巨大なため(2度目)「オペラグラスがあるといい」との教えを
発信されているのもチラ見したため、バードウォッチングばりの双眼鏡を持参しました。
(ふだんはこれで貧民席からもお気に入りのダンサーをでっかく見る)
おかげで今回の目玉のスラヴ叙事詩は6×8mの大作がメインですが、そのはしっこにいる人物までピントばっちり。
まぁもともと絵ってヒトの視点から遠ざかるところは遠近効果のためにあまり描きこんでないもんだし、
必要ないんじゃないかなーなんて思ってたんですけど、まったくもって甘かったですミュシャ。
双眼鏡使ったら全然見えてなかったことがよくわかりました。教えてくれた方ブラボー。
ミュシャはオーストリア帝国領モラヴィアに1860年に生まれ、パリに渡ってからポスター制作などで活躍した実績が有名ですが
アメリカ滞在時にボストン交響楽団のコンサートでチェコ出身の作曲家スメタナの「我が祖国」を聴き、
スメタナの代表作でもあるこの作品に込められた故郷への想いに触発され、
スラヴ民族の歴史を描くこの『スラヴ叙事詩』を制作することを決意したと言われています(wikiより)。
その後アメリカの富豪チャールズ・クレーンから金銭的な援助を受けられることになったため、
人気グラフィックデザイナー&画家としてのパリの暮らしをやめて祖国に戻り、晩年の約20年をこの作品に捧げました。
それにしても素晴らしいです、スラヴ叙事詩。
培われた技術に成熟した思想をともない、集大成とはこういうことを言うのだ、
と感動しました。
ちなみに会場ではオーディオガイドがありますが、迷われてる方はオススメです。
巨大な作品にいちいち近寄って解説読まなくていいし、
なんといっても解説ナレーションの背景に、このスメタナの「我が祖国」が流れるんです。
めっちゃ気分が盛り上がります。
また一見、このスラブ叙事詩はいわゆるミュシャの平面的なポスターで見られる技法に比べると
非常に絵画的でけっこうタイプ違うよねって思われる方もいるかもしれないけど、
構図はかなりグラフィックポスター的なところがありますし、
バードウォッチングな双眼鏡のおかげでミュシャらしいと思えるグラフィックエッセンスをあちこちに確認出来て、
グラフィックデザインを学んだ自分としてはなかなか興味深かったです。
それ以外にミュシャの有名なパリ時代の作品たちや、パリ万博でスラブパビリオンをトータルプロデュース制作したり
演劇を演出した軌跡も、わりとあっさりではありますが展示されています。
(これは4つの芸術を擬人化したシリーズのひとつ、”ダンス”)
わたしがスラヴ叙事詩全作品通して感じたのは、ミュシャの描く女性達の戦火のなかにあっても
なお先を見つめるような視線の強さでした。(この写真は女性じゃなく若き日のミュシャ)
また歓び、虚無感、希望、絶望など激動の時代の様々な感情が絵の中の様々な人によって語られており、
誰が見ても必ずその中のひとりに感情移入してしまうでしょう。
(最後の部屋だけ撮影可です。でも撮影不可なものの方が好きです・・・)
見終わってしみじみ思ったのは
自分の晩年に次世代に伝えるべき確固たるものをもち、それを全うできた表現者は幸せだ、ということでしょうか。
自分のこれからの人生で何が出来るのか考えてしまいました。
(追記:3/16放映のNHKのミュシャ特集で、このスラヴ叙事詩などがきっかけで
過剰な愛国主義者としてゲシュタポに捕えられ収容所での悲痛な最晩年を送ったという映像がありました。
そういう意味では「幸せ」という言い方は適切ではなかったかもしれません。
それでもこの活動で、自分の人生を自分自身が信じることが出来たのではないかなと感じました。)
(ジョニーはゴハンを食べてよく寝る人生がシアワセだよ)
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